ガラスコーティングのススメ

皆さんが現在大切に乗られているお車、何だか最近周りの車と比べてツヤがないような印象は受けませんか?また現在も新車のような綺麗な状態を保っているという方も要注意、実は塗装も人の肌と同じで年々劣化しており、ただ単純に洗車をしているだけでは良好な状態を維持することはできないんです。

ボディコーティングで塗装を保護
点検整備を徹底することで良好な状態を維持することができる機関系とは違い、ボディの塗装というのは常に日光や排気ガス、鉄粉、雨や泥など塗装を酸化・劣化させる汚れに晒されています。通常、自動車の塗装面というのは前処理の済んだ鋼板の上にプライマー(下地)を電着させ、中塗り(サーフェイス)と上塗り(トップコート)、クリアー塗装を塗りと焼き付けの工程(コート&ベイク)によって塗り重ねていき、ある程度の耐水・耐熱・耐久性を与えられた上で完成していますが、それでも公道を走行する以上、先述した塗装面を酸化・劣化させる要因を完全に取り除くことはできません。洗車で洗い落とすことはできず研磨除去が必要なそれらの外的ダメージが車を苛め続けることで、やがて塗装面の保護と光沢のために塗られているクリアー層が限界を迎えると劣化は一気に塗装面を侵食し、塗装の色褪せや艶引きを引き起こしたり、小傷がつきやすい状態を作り出したりします。どれだけ手をかけても納得いく状態に仕上がらず、思い通りの維持ができなくなってくる時というのはクリアー層が既に壊されてしまった後ですから、残念ながらそこから何を改善しようとも手遅れなのです。

ガラスコーティングの耐久性とクリア塗装
それでは全くなす術なしなのか、というとそうでもありません。クリアー層の上にもう一枚、ガラスのように頑強なクリアー層を与える「ガラスコーティング」という方法が残されています。これは従来のシリコン系、フッ素系のカーワックスやポリマーコートに代表されるようなクリアー層の上に油膜を形成するタイプとは違い、無機ポリシラザン、シロキサン等の化学反応を利用しクリアー層に酸化しないガラスの被膜を与えるタイプのコーティングで、非常に強固な被膜により酸化・劣化や傷からの保護が1年以上という長期に渡って見込める、特有の透明感のある艶が出るといったメリットを持っています。イメージとしては西洋甲冑のような隙のない全身武装に近く、2017年現在、1980年以降に産声を上げた塗装面保護の方法・手段の中で最も効果的であるとされており、知名度の高くなった今ではボディのコンディション維持や美しい艶出しに興味のある愛すべき洗車小僧や高級車オーナー達の注目の的です。このようにガラスコーティングというものはメリットが非常に多いので恐らく話を聞いた誰しもが施工を検討したくなるものですが、世の中に完全無欠のものがないように、ガラスコーティングにも施工の難易度の高さ、金銭的・時間的コストの大きさといった多少のデメリットが存在しています。施工後は文字通りガラスのごとく石英化してしまうので一度の失敗も許されないため、これまでのコーティング剤と違い素人でも施工できる手軽さはなく、その施工と管理の難しさから基本的に本物の「ガラスコーティング剤」は市販されていません。必然的に専門の業者に委託することとなるため従来のコーティングに比べ金銭的な負担も大きく、また化学反応を起こしてから硬化が完了するまでの数日間、業者に愛車を預けなくてはいけません。このように数点のデメリットこそありますが、腕のある業者に依頼すれば今までのボディコーティングとの明らかな違いを体感できることは確実ですし、某大手自動車メーカー社長の言葉を借りれば数ある工業製品の中で「愛」がつくのは「車」だけ。そのような手間を惜しまないオーナーの車に対する「愛」が試されているとも言えるのではないでしょうか。